2015年3月19日木曜日

築後三十数年来の悩み ― 時折の雨漏り


今年の初めに雨漏り ― ゲリラ豪雨による被害という事例で年に数回程度雨が漏る事例を書きました。


今回の事例はそれと似たものですが、新築直後から雨漏りが発生し、三十数年経った今でも続いているというものです。


廊下天井に付いた雨染み。

相当な量の雨水が入ってきたように見えますが、三十数年にわたっての結果ですので、大量の水が入り続けているのではなさそうです。


天井点検口を設置して屋根裏を調査。

野地板・垂木・棟木に黒くなった雨染みが確認できます。













屋根に上がって調査。

天井裏の雨染みは青丸で囲んだあたりですので、雨漏り原因に心当たりがあります。


「棟違い」と呼ばれる屋根形状。
木が表しになった純和風建物。
これらがヒントになります。
この「棟違い」形状の屋根では青矢印で示したように雨水は垂木や破風板を伝って流れてゆきます。
破風を軒裏をモルタル等で仕上げている場合やケイカル板(珪酸カルシウム板)等でしっかりと囲ってある場合には雨水は建物の中に入って行きにくいのですが木が表しになった建物の場合は下のイラストのような構造に起因する雨漏りが発生します。

【イラスト1】
瓦を葺いていない状態をイラストで描くとこのような構造の場合が多いです。

低い方の棟の付け根と垂木との取り合い部に防水シートが張れない箇所が発生します。


【イラスト2】
高い方の棟から延びる垂木が屋根裏に貫通しているため、水が入り易い。


【イラスト3】
貫通している垂木を切断し、防水シートを棟をまたいで掛けてやると雨水は屋根裏に入らなくなります。


お客様に上記の内容をご説明し、御見積り後工事を開始。

瓦をメクリ下地を確認。

【イラスト1】で示した通りの構造が見えます。

ただ、垂木は貫通させていませんでしたが野地の上に釘留めであったため防水シートは未施工でした。

【イラスト3】のように赤丸部分の垂木を切り上げ、野地と縁を切ります。

奥に見える垂木も同様にして防水シートを棟を跨ぐように施工。

瓦を葺き直して工事完了。

破風に対して取り付けてあった「のし瓦」は仕舞が悪い為、板金水切りのみの取付けとしました。










成 果
今年は3月にしてはよく雨が降りますので、工事完了後3日目の大雨でも天井が濡れなくなったとお客様からご連絡を頂きました。

感 想
新築後三十数年にわたって雨漏りに悩まされていた事例です。
お客様のご要望は雨漏り止めてほしいという単純明快なものでした。
但し、調査時点でおおよその原因を想定しある程度思い切った工事を行いませんと何度も何度も修繕工事を繰り返す恐れのある事例でもあります。

【主だった工事内容】
屋根瓦の脱着・下地の納まり変更・防水シート施工・その他帯工事。

【工 期】
調査日を含んで3日間。

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