2014年10月6日月曜日

築58年目 ― 想い出の詰まった自宅 ― 完成


工期3カ月余りを掛けて完成。



足場を設置して瓦撤去から着工。


















雨漏り箇所の隅木付近。















隅木が腐食。
















隅木の取替え。
















取替え後。















既存の野地板を捲り 天井内部を調査。















天井吊木が不足していたため追加補強。















梁・小屋束等の接合ができていなかったため金物補強を行い耐震性を持たせます。














天井裏の掃除を行い断熱材(袋入りグラスウール)を天井全面に敷き込み。














入母屋妻部分は垂木が腐食していたため、取替え。















破風板も取替え。














下屋根の瓦を撤去すると60年近く前の職人の知恵に出会います。

隅木が野地板よりも60㎜ほど高くなっています。
原因は新築時の大工棟梁が構造もしっかりと造り込むため隅木断面背丈を大きなものを使いたいが、二階窓との関係での地面を隅木上に張れなかった苦肉の策だと思われます。





この隅木も腐食していたため取替えとなりましたが、60年後の私たちの回答は、当時の心遣いを尊重し隅木の背をそのままにすることとしました。












隅木の背を小さくしなかった代わりに野地面を可能な限り上げるため、下地を入れる工法をとります。














新しい野地板は針葉樹構造用合板 厚12.0㎜をN釘50mm留めとしました。

写真の箇所は隅棟と入母屋破風の取り合い部で雨が入り易い箇所ですので、先張りのルーフィング(防水シート)を施工しています。

野地工事が完成してからでは張ることができなくなる箇所です。

この後 いよいよ瓦葺きとなります。








瓦葺きの準備 下葺き・下地工事

改質アスファルトルーフィングをステンレス製ステープルで最小限留めし、ルーフィング横継手はブチルゴムテープ張り。

水抜き穴付き瓦桟木(防腐注入加工)18×45mmをステンレス製釘で留め付け。

軒先水切りカラーステンレス製。

軒先部は樹脂発泡人造瓦座をステンレスビス留め。









使用瓦は
淡路産いぶし和瓦 JIS53A型 緩勾配対応 防災瓦。

地震や台風などの外力が加わっても瓦がズレたり落下をおこしにくく、緩勾配対応ですので雨水も一般的な瓦よりも入りにくい仕組みになっています。











棟はステンレス製のボルトを仕込みます。





















棟瓦(京箱瓦)直下にステンレスボルトに固定した防腐注入処理を行った木芯を入れ、棟瓦をステンレスビスで縫い付けます。

のし瓦はステンレス製線材で互いを結束させ脱落するのを防いでいます。
















母屋二階屋根から離れを撮影。





















鬼瓦は、電線 ビニル絶縁ビニルシースケーブルVVF2.0×3Cで結束します。

被覆銅線の耐久性は瓦屋根の耐用年数に十分釣り合ったものです。


















完成した棟瓦。





















完成した母屋。

瓦割り付けの為、屋根形状を一部変更。

















【感 想】

下見を終え、提案書・見積書作りの作業中にはどういう完成形になるのだろうと思いながら叩き台を作っていました。
想い出の詰まった家のデザインは可能な限り違和感なく仕上げ、耐久性と住み心地を向上させる方向で狙いを定めました。

幸いお客様の思いも同じであることで理解を得て大掛かりな改修工事となりましたが、ご満足いただけたと思います。

それ故に隣接する御子息様の住宅の外壁改修工事もご発注も頂けたのだと思います。

この度の改修工事で想い出の詰まった家は、また新たな想い出を作り次の世代に受け継がれてゆくととなります。


【工 期】

屋根・天井裏・外壁(焼き板張り・一部漆喰塗り)・雨樋の更新を含めて 実働 約3.0ヶ月。

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