2015年12月5日土曜日

すずめのお宿 ― 須磨区の古刹「禅昌寺」


「禅昌寺」は、須磨区 板宿~妙法寺界隈ではよく知られたるお寺だと思います。
板宿商店街から歩いて10分程度の場所だとはとても思えない自然豊かな境内です。

「ウイキペディア」によりますと後光厳天皇の勅令により建立された西摂有数の寺院で、延文年間(1356年 - 1361年)月菴宗光の開山により創建された臨済宗南禅寺派の寺院で正式には「神撫山禅昌寺」ということです。

ちなみに神撫山は現在の高取山の旧名称だということです。

暑さ厳しい7月某日「禅昌寺」さんへ屋根の改修工事
のご相談があるということで訪問させて頂きました。




左写真 中央が玄関部分の建物、左側建物が本堂、上写真玄関右側建物が庫裏。

この度は、この玄関部分の屋根瓦を改修されるご計画(50年ぶりの改修)とのことです。

正面に曲線のある屋根の形状は「唐破風(からはふ)」という形式で日本特有のもので社寺建築によく見ることができます。


 瓦を取り替えるにあたって、製造納期が1ヶ月以上必要となる寺紋瓦のデザインの打合せを粘土版にて行い、着工前に生産発注。


















天候が安定する10月中旬を待ち工事開始。

効率化と他箇所を傷めないためにレッカー車とバキューム車を最大限活用しての瓦・土の撤去作業。


工事開始早々にご住職からのお心遣いで本山の檀家でもなく信徒でもない私どもに瓦工事統括として瓦裏に氏名を墨書きして頂くお申し出を頂戴しましたので、あり有難くお受けさせていただきました。
社寺関係の工事には何度も関わりましたがこのような経験は初めてのことです。





季節は「銀杏落葉」となり、工事完成。

この写真も境内のとある場所です。銀杏の葉が絨毯のようでとてもきれいでした。


一見するとどこがどう変わったのかわからないと思います。
歴史ある建物などでは、意匠を極力変化させないことが
大切ですのでこのような仕上がりを狙います。


最初の写真と見比べると違いが判ると思います。




感 想】
今回はよく知っている名所の改修工事でしたので普段以上に気を引き締め工事にあたりました。社寺は檀信徒や氏子達のためだけの存在ではなく、その地域でのランドマークとしての存在でもあると思います。
特に歴史のある社寺は親しみを持って「さん」付けで呼ぶのはそのためでしょうか。よって物理的意味での建物の改修工事だけではなく、背景にある歴史や地域の方たちのために行う精神的なものも含まれると思います。

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