2013年10月3日木曜日

性能維持・向上 ― 通気改修工事 (その1)

新しい現場工事を始めています。


9月30日(月)に足場を設置しました。
(先の投稿でお知らせした垂幕制作が間に合えば工事途中からでも取付ます)

工事内容は主に外装の改修で、

≪基本工事≫
サイディング コーキング目地打ち替え
外壁塗装
屋根材をカバー工法による改修
ベランダ床防水改修

≪お薦め工事≫
外壁サイディングの通気を機能させる
小屋裏(屋根裏)の通気を機能させる
3階ベランダに屋根を造る

という内容です。



冒頭の写真は今日午前中に撮ったものですが、単に足場が設置されただけ建物です。

では、この工事がどのような経緯で始まったのか、また工事内容はどのように決まったのか、は興味のある部分ではないかと思いますので、少し紹介させて頂きたいと思います。

◆ ヒアリング

お客様のご要望をしっかりと聞き取らさせて頂きます。

≪ご要望≫
サイディング コーキング目地が傷んでいるように思う
ご近所が外壁塗装をされているのをみてそろそろ必要なのかと思う
ベランダ防水がひび割れていて気になる

というものでした。

◆ 調査

お客様のご要望に沿った各箇所を見ます。


サイディング目地コーキング

築12年目としては比較的健全な状態ですが、日当たりの良い面のコーキングはひび割れが発生しています。

このまま放置しておきますと雨が浸水して建物を傷めてしまう可能性がありますので改修のタイミングとしては良い時期だったと思います。






サイディング塗膜面

写真は台所換気扇フードに流れる汚れを含んだ雨水の跡です。
外壁に取付いた部材や窓回りからもこのような現象が起こります。これ自体では単なる付着物による汚れですので建物に悪い影響が直ちに起こることはありません。見た目の問題です。
但し、コーキングを打ち替えた後に塗装をすることによってコーキングの劣化を緩やかにすることができますのでお薦めします。




3階ベランダ床防水の傷み

ベランダ床防水の仕様はFRP防水で、下地の継目からひび割れが発生しています。

簡易な補修材を塗って対処されたそうですが、防水のDIYはお薦めしません。不確かな補修をして安心し被害が大きくなってしまう場合があります。






以上ここまでがお客様が気になっている箇所で工事依頼の内容です。



◆ 拡張調査

私たちが日頃の経験上、怪しいと思われる箇所を調査します。


ベランダ排水口回りの点検。

ここが傷んでいないか、またゴミが詰まっていないかを確認します。
ゴミが詰まっていてきっちりと排水できない場合にゲリラ豪雨などのように短時間に大量の雨が降った場合、排水能力が不足してベランダがプール状態となって水が溜まります。






ベランダに溜まった雨水はベランダへの出入り口である掃出し窓の下部(写真の箇所)から浸水します。




ベランダ下 階下の天井に当たる部分の排水口回りの状態確認。

四角い箱がベランダ排水口からの雨水を受ける桝です。

この辺りに染み等が見受けられるとベランダ床か壁からの浸水を疑います。

今回は特に異常は認められませんでした。







ベランダ アルミ笠木回り

外壁との取り合い付け根部分は壁を流れてきた雨水が笠木に当たって浸水しやすい箇所です。

コーキングだけで雨の侵入を止めようとしている建物が非常に多く、コーキングの劣化とともに被害が発生します。








今回気になったのは、付け根部分ではなくてコーナー部分に生えた苔でした。

苔が生え続けるためにはある程度の湿気が継続して必要になります。

この場所に苔が生えているということは水が溜まっている可能性があります。








エアコン冷媒管(カバー)

どこの家にでもあるありふれた部品ですが、この中身は建物の壁を貫通して部屋内にまで届いています。

今回はキャップの回りにコーキング等の防水処理が見当たりませんので、要注意です。

次に点検するのは軒と外壁の取り合い部分

写真は2階ベランダの壁と3階ベランダ床裏の取り合い部分です。

ここでは電話とテレビ関係の機器が所狭しと取り付けれています。
これらの機器が破損していないか等も目視で点検します。


しかし、私たちが知りたいのは別のものです。

☆ 外壁通気が機能しているか ?



続いて屋根と壁との取り合い部分と屋根の軒裏の状態です。屋根から雨が漏っている場合はベランダの床裏と同様に軒裏に染みが発生してる場合があります。
気になる染みは見受けれられませんでしたが、安心はできません。実際に屋根に上がり調査しますが、この建物は3階建てでありベランダ側に軒先がなく梯子などで簡単に上ることができませんので、できる範囲での調査を行います。



小屋裏(天井裏)の調査
押入れの天井や部屋の天井に小屋裏の点検口を設置している場合が多くあります。今回は天井点検口から屋根裏の状態を調査しました。
構造は2×4(ツーバーフォー)の洋小屋造りで、雨染み等も見たらずきれいな状態でしたが湿度が高いのが気になりました。よく見ると小屋裏の換気がパイプフード(奥の壁に見える並んだ丸いもの)のみでしたので換気量が足りないと感じました。冬には結露が発生しそうです。
☆ 小屋裏換気が機能しているか ?




外部基礎の状態

建物を支えている文字通り基礎部分です。

ひび割れがないか、水染みがないか、シロアリの蟻道がないかを目視で点検します。

今回は特に気になるものは見当たりませんでしたが、外部から見えている範囲だけでは安心できません。






床下の調査
写真は洗面所の床裏ですが、断熱材に染みがついているのがわかります。お客様に尋ねましたところ、水を大量にこぼしたことがあるとおっしゃっていました。
これが給排水関係の不具合で継続的に水が漏れているのでしたら木の構造体が腐りまたはシロアリの発生等があり大変な被害が出るところです。床下調査は私たちの必須調査の一つです。合わせて基礎と床下の状態も確認します。







性能維持・向上 ― 通気改修工事 (その2) に続きます。

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