2013年9月4日水曜日

懐かしい薫り ― 大切にしたいもの 実務編(2)

予定通りに一期工事はお盆までに完了し、現在二期工事を始めています。



一期工事と続き間になった四畳半、この部屋での工事内容は

右奥に見える襖ドア部分に耐震壁を設置。
その手前の障子部分中央に鉄骨柱を設置。
左の箪笥裏に鉄筋コンクリートの基礎を設置。
二階床を支えている梁の補強。
畳敷の床の補強。

と盛りだくさんです。









耐震壁設置のために壁を解体。

お客様のストレスを最小限にさせて頂くために解体作業は、関連部分を一気に行います。



















筋交いと構造用金物を設置。
























石膏ボードを取り付け。

この後は、仕上げの珪藻土を塗るだけです。




















箪笥の裏側部分に基礎を設置。


















箪笥の裏側は壁を隔てての階段室で、ここも箪笥置き場になっています。






















解体中の様子。


















壁を取り払うと今まで見えなかった階段が見えるようになりました。

















このように基礎がありません。

これでは、壁があっても地震の揺れを地面に伝えることができません。




















基礎工事。

鉄筋コンクリート造のベタ基礎。
















コンクリートを打設して数日間後、型枠を外し基礎の完成。

厳密には、すでにある土台の下に基礎を造りましたので、新築時とは手順が逆になります。

当然基礎の上端と土台の下端に隙間が生じないようにします。

隙間があると建物が受けた力をうまく基礎に伝えることができません。








足元の工事が一段落しましたので、次の工事の段取りにかかります。

二階の床梁の補強と柱の設置。


広縁側から見た床と天井。

















部屋から広縁を見上げた天井。

中央に見える二階床梁の下にもう一本梁を付け足し、それを柱3本で支えます。

この時点で補強する梁の左側に見えている丸太の梁が抜けそうなのが判明し、急遽補強することになりました。
耐震改修工事では予期せぬ不具合を発見することが多々ありますが、それを見逃さず補修・補強することが大切です。








広縁側から見た梁取付作業。

元々ある床梁は経年によって変形していますので、削ったりして付け足す梁と密着させることが重要です。

基礎と同じく隙間があると力がうまく伝わらず、計画通りの性能が出ない場合があります。

重要な工程です。















付け足した床梁。(広縁側)


一気に取付ができませんので、ポスト(支柱)で突っ張り慎重に添え付けてゆきます。

使用している梁は集成材です。












付け足した床梁。(階段側)


梁を付けた後、木製柱を2本と別注している鉄骨柱を1本の合計3本の柱を建てます。

これも新築時とは逆の工程です。
新築では柱を建ててからその柱に梁を取り付けます。










たわんでいた床の補強。

畳敷の床をすべて捲り、大引き(床板を支える部材)がたわまないように鋼製束(大引きを支える部材)に取り替えます。

鋼製束を支えるために木枠を作りそこに基礎工事で使うコンクリートを流し込んで束石とします。
場合によっては床下全体にコンクリートやモルタルを塗る場合もあります。





ここだけ見ましても建物には色々な部材がそれぞれの役割を持って存在しているのがわかります。また、完成後見えなくなる部分が大半ですが、そのすべての工程が建物に必要な性能を出すための非常に重要なものです。


この後、元からある柱や梁を構造用金物で補強したり、天井を取り払って発見した不具合箇所の補強を行っていよいよ仕上げ工事に入ります。完成まであと2週間。

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